「ヒューリスティクス」と「認知バイアス」

ヒューリスティクスとは


ヒューリスティクスとは、必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることが出来る方法のことをいいます。また、答えの精度は保証されないが、回答に至るまでの時間が少なくて済み、心理学では人間の思考方法を指して使われています。

簡単に言えば

思考上のショートカット。近道。

とも言え、「学習参考書」「マニュアル本」(ゲーム攻略本や恋愛マニュアル等々)もヒューリスティクスの一つといえるでしょう。

身近な例をあげれば、自動車教習所に通っていた頃の運転の仕方と「現在」の運転の仕方の違い。「教習」のときには「ビクビクして運転」していたのが、「現在」では「結構、いい加減?」に運転している場合も多い。これは「自動車運転のヒューリスティクス」が出来上がった証拠といえます。
「慣れではんいのか?」という声が聞こえてきそうですが、「慣れ」によって「必要最小限の情報」に絞って「これならば、速やかでだいだい安全に運転できる」といった情報のチョイスを行い運転操作しているとも言え、まさに「思考上のショートカット」を利用しているといえるわけです。

ヒューリスティクスには次のものが挙げられます。

利用可能性ヒューリスティクス

想起ヒューリスティックともいい、想起しやすい事柄や事項を優先して評価しやすい意思決定プロセスのことをいう。英語の訳語である検索容易性という言葉の示す通りのヒューリスティックである。

代表性ヒューリスティクス

特定のカテゴリーに典型的と思われる事項の確率を過大に評価しやすい意思決定プロセスをいう。

係留と調整(anchoring and adjustment)

最初に与えられた情報を基準として、それに調整を加えることで判断し、最初の情報に現れた特定の特徴を極端に重視しやすい意思決定プロセスをいう。

認知バイアスとは


認知バイアスとは「偏り」ということ。非常に基本的な統計学的な誤り、社会的帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である。認知バイアスは、事例証拠や法的証拠の信頼性を大きく歪める。

  • 「適切な情報を無視する」ことに起因するもの。例えば、事前確率無視。
  • 「不適切な情報に影響される」ことに起因するもの。例えばフレーミング効果では、全く同じ問題でも記述の仕方によって受け取られ方が異なります。※1
  • 問題の中でも重要ではないが突出した部分に「過大な重み付け」を与えることに起因するものをいいます。例えば、アンカリング。※2